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難題 EU予算 [欧州]

27ヶ国に膨れ上がっているEU。

いよいよ、難題のEU予算の討議の時期が近づいた。

先ず、決定を要するのは、7年間の概要予算枠(multiannual financial framework-MFF)である。

これから2014年から2011年の間の総予算額を決めるのである。

各メンバー国が拒否権を持つ本決定、これから大変面白い見ものとなる。

さて、主たる問題点の一部;

・現行、EU予算は各メンバー国のGDP1%に相当の”会費”で賄われている。

 新予算枠決定に際して、EU事務局は、”1%シーリング”を上げたい。

 一説だと会費総額の12%の嵩上げを目論んでいる。

 各メンバー国、独自の財政緊急策を採用中である。
 この際、EU会費の値上げは受け入れにくい風向きである。

・現行、支出は主に2分野に偏っている。伝統的で固定的である。

 即ち”農業助成”と”地域開発助成”。

 どうしても農業国、また新興メンバーに多く支出される。

 例えばポーランドは自国GDPの20%に相当する”助成”を受けている(会費はGDPの1%なの に)。

 巨大GDP国は、会費の支払いが多いが、イギリスのように見返りの受領額が少ない所がある。
 余りに不公平だとサッチャーが強引に交渉してイギリスだけ、特別に”会費”に対して、”リ ベイト”が、払い戻されている。

 イギリスのリベイトは不評で、廃止を求めるメンバーが多い。
 こじれるとイギリスがEUから脱退する危険を含んでいる。

 一方、ポーランドやポルトガルのように拠出金よりはるかに、多額の”農業助成金”     や、”地域開発金”を受領しているメンバーは、少しぐらいの会費値上げに賛成である。

・EUがいつまでもメンバーの会費を当てにしていては積極的な行政が出来ない。
 そこで新しく”自前資金(own resources)”論が起きている。

 域外からの輸入関税や、新しく、EU銀行税を課す動きである。
 これらをメンバーからの会費に加えて直接EU収入とする案である。
 当然異論、反論が予想される。

・ギリシャはじめEU周辺国に公的負債問題が噴出している。
 さて、彼らの救済とEU予算の関係はどうあるべきか。

 ギリシャ、アイルランド、ポルトガルと具体救済例は積みあがりつつあるが未だEUとしての救 済ルールも拠金の仕組みもアドホックである。
 これも大きな検討課題である。

バイロン


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