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天国の蓼科高原 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

ご近所の三宅教授の奥様から贈られたバッハのピアノ曲、インヴェンション。グールドが弾いています。蓄音機はもうずいぶんと古い。主人は、奥さんの苦情にもかかわらずこの旧式な機械を捨てません。蓼科高原の今日は、主人ならずも天国のようです。緑の木々は元気に息をしていますし、吹き抜ける風は、まるで湿気がなくて香しい。思えば、当時の東京ガスの村上社長はえらかったなーと主人は何時も言います。社員に保養所を作ろうと関東一円から外周まで、気象状況を徹底して調べたのです。日照率、乾燥度、気温、等々を精査して、軽井沢でも、那須でも、草津でも無く、ここ蓼科高原に白羽の矢を立てたのでした。もう40年近い昔です。主人は東京ガスとの仕事を通じて、蓼科の良さを知ったのでした。梅雨の最中の今日、不思議に空は晴れ渡り、日の光は優しく一帯を覆っています。主人はヴェランダに上半身裸で日光浴。書斎から流れるバッハはいいよなー、と話しかけます。東京目白の空気とはまるで別世界。私も随分食が進みます。主人はお前は中年太りだと嫌な事を言います。
パテイー
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