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連載ー蓼科高原のクレオパトラ ブログトップ
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詩人と自然 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

蓼科高原の秋は、何処を見ても木々が色着いてまるで絵の具の世界のようです。ご主人は、横谷観音に出かけて、急に真顔になりました。”なるほど、このような色彩の爆発は、名人の絵描きにも捕らえられないな。といって言葉にも描写できない。マークトウェインだっかな、詩人だけが理解できるといっていたね。”と言いました。”赤道に住む友達に見せてやりたい。”と悔しそうです。ご主人は、美しい色彩を何とかキャンバスに移そうと、油絵の道具を部屋一杯に並べて、努力していましたが、とうとう筆を放り投げて”辞めた、辞めた。無理なものは無理だ。”と諦めたようです。となると早い決断で、”オイ、帰るぞ。”と奥さんに一言。今バタバタと山荘の閉め作業に入りました。水道、電気、新聞、プロパンガス、などの配給を停止します。之で山荘とは一冬のお別れです。私は、ご主人の好物、フランスからのイチゴジャムをつけたクロワッサンや山荘近くに出来たオーストリア伝統のお菓子屋さんの素晴らしいクリームチョコレイトを、たっぷりご主人から分けてもらい、短時間だったのに体重が増えてしまいました。ヴェランダに飛んでくる小鳥達共も、庭に遊ぶ鹿の家族とも、しばしのお別れです。
パテイー

嬉しい再会 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

シンガポールに居る息子さんの家族をご主人と奥さんが一緒に慰問に出かけました。私は目白駅のそばの犬の美容院に預けられました。初めての経験でした。似たような境遇となった仲間の犬たちと小さな箱に入れられました。朝と夕二回散歩に連れて行かれて足腰は伸ばせましたが、ご主人と奥様にいつ会えるのか、それとももう会えないのかと毎日心配で、三日目から下痢が始まり、毛が抜け始めました。十日たった今日、突然奥さんが車で迎えに来てくれました。家で夜間飛行で帰り着いたばかりで疲れはて寝ていたご主人に会えました。良かった。とうとう、二人に会えました。体に急に力が戻ってきました。久しぶりに顔をなめてあげたご主人は”おー、おーパテイーよ、会いたかったぞ。”と満足顔です。
パテイー

日本の秋 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

蓼科高原の山荘を引き払って目白に帰って来ました。。今年の蓼科はそれでも気温が例年より少し高かったようです。証拠に小鳥の数が少なかったです。ご主人は”東京も涼しいね。悪くない。”と満足げです。奥さんは栗やマツタケを買ってきました。ご主人は”日本の四季は素晴らしい。食べ物までガラッと変わる。年中夏のブルネイや、マレイシアや、シンガポールの連中によく教えてやろう。”とスカイプで現地の友人に電話を掛けては自慢してます。”パテイー、金持ちの一人が日本に家を買うかな、と話してたぞ。連中が日本に金を落としてくれると有難いよな。”と言ってます。私も食欲増進です。”お前、太るぞ。気を付けろ。”とご主人は細かいです。
パテイー

もう秋 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

山荘は急に朝晩寒くなりました。回りのお宅も人が減っています。其の所為でしょうか、鹿の群れがあちこちで草を食べています。ヴェランダにも色とりどりの小鳥が帰ってきました。主人も奥さんも、セーターを着始めています。主人は、旧い愛器のパソコンの調子が悪く、”フーン、機械は使いようだというが、どうやら寿命のようだ。”と嘆いています。腕組みをしてパソコンが動き出すのを待っている主人は”この遅さでは、世界観察もママならない。年の所為か時間がもったいないね”と話しかけます。お若いご友人が色々と新しいパソコンについて主人に講義しているようですが、何しろ頑固な主人です。”なんでも新しいものがいいというのは問題だな。”と強がりも忘れません。親しいご近所のご夫妻から、この夏、たくさんのクラシック音楽のテイプを頂戴した主人、もう20年近く愛用の蓄音機で毎朝大きな音で聞いています。もう、蓄音機のボタンの文字も擦り切れて、主人の弱くなった目では、操作も苦労の種です。でも、主人は喜んでいます。旧いものが好きなのです。夏の間は、いつも満員の茅野のおすし屋さん。山荘の住人が減って空いています。主人も奥さんも気軽に出かけるようになりました。庭に、前回のオリンピックで大和なでしこのサッカー優勝を祈って、珍しく主人が自分で鍬を持って作った”なでしこ花壇”。ここ数日又白い花が咲きました。空気は一層透明で、蓼科山も、アルプスもとても近くに鮮やかに見えます。
もう、東京も秋の気配でしょうか。”おい、パテイーよ。そろそろ下山するか”と主人も言い出しました。
パテイー


蓼科高原の気象変動 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

ご主人は屋根を叩く豪雨に目を覚まして、ヴェランダのガラス戸を開け放し、床を叩いて一メートルも跳ね上がる雨足を見て感慨深そうです。”息子の居るシンガポールのスコールが、蓼科高原で経験できるな。間違いなく山の気象は変わっている。”そういえば、昨日に庭に特別大きな鹿がやってきました。小鹿の数頭も含めて大家族です。私は、牡鹿のあまりの大きさに驚いて、追い払うのをためらいました。ご主人は、”なんだ、あれは、でかいなー。富士桜の芽を背伸びしないで食べてるぞ。あんなの見たこと無い。”と感心しています。”そういえば、今年は小鳥が少ないね。気温の所為だ。山の気温も少し上昇しているのだろう。”と言うと奥さんが”ソーなの、今年はおかしいですよ。野草の数が少ない。”と答えます。お近くの山荘のご主人は、”今日は初めて猿をみましたよ。管理事務所では迷い猿で、まだ群れは出ていないと言ってましたけど”と驚いておられます。
パテイー

酷暑の高校野球 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

ご主人は、テレヴィに終日かじりついています。甲子園の高校野球観戦です。私は、ご主人の横に座らされて絶え間ないコメントの聞き役です。”見なさい、この好投手も、疲労の限界だ。ボールを握る力が落ちている。監督には分からないのか。”、”何故この暑さに野球をしなくてはならないのか。選手が可哀想だ。メジャーリーグを見ろ。体力の温存を大切にして居る。皆ゴリラのような屈強な連中でもだよ。”、”審判の判定が下手だ。之では選手が可哀想だ。せめて主審はプロを当てたら良いのになー。”。”解説者が揃って皆、行儀作法の神様のようだな。人間味が無いなー。ユーモアがまるで無い。”、”選手が皆大きくなった。それに打撃主体となってきた。攻撃は最大の防御だと悟ったようだね。アメリカ風に変わってきたね、”、”若者の熱心さは良いね、皆、即企業で、採用したらいい。それとも直ぐに世界で働けるように道を付けてやるといい。日本代表の若者として、日本のイメッジを高めてくれるよ、きっと。”、”甲子園は勝者ばかり褒めるね、負けた連中を讃えるべきだね。一将なって、万骨枯る、なんて古いよな。”
こんな調子で、絶え間がありません。私はただのプードル犬ですが、ご主人には鍛えられてます。ご主人はもう何年も共同通信の週刊誌、共同ウイークリーにコラムを持っています。この調子だと原稿を書く余裕がありそうも無い。すっかり、野球ずけです。
パテイー

山の文化生活 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

御主人は毎朝、"今日も天国だな"とつぶやきます。山荘は1400メートルの標高ですから朝夕はヴェランダで15、6度、室内でも昼間22,3度の気温です。"下界は酷暑だというのに全く三次元立体国土は有り難いものだ"と難しい事を口にしています。豪州や欧州のお友達からメイルで、とても暑かったり寒かったり、洪水が出たりして、天候異常だといってきているようで主人は、"あちらは何処も平地だ。蓼科の環境は宝物だな"と一人納得しています。息子さん一家が仕事でシンガポールに急に引っ越してしまいました。御主人も奥さんもすっかり寂しがって元気が無かったのですが、奥さんが急にラインとかのインターネット電話を覚えて、毎日、お孫さんとやり取りし始め、ニコニコ顔が戻りました。お孫さんが残した朝顔の花が咲いて、奥さんは早速写真でシンガポールに送りました。このところ、奥さんはすっかり勢いついて小さな本のような機械から盛んに買い物をしています。麓の茅野の町にあるコンビニやらなにやらから、インターネットで買い物です。今朝は山荘に宅配便の車が二台鉢合わせまでしています。"もう買い物に出かけなくてもいいから便利だわ"と満足顔です。御主人のほうは、キンドルとかのこれも小さな本のような機械で、読書ばかり。"アメリカのベストセラーがボタン一つでこの機械に飛んでくる。便利だなー"と感心しています。私はといえば、ヴェランダでのんびりと日向ぼっこです。もう8歳になりましたから、もう余り騒ぎまわらないのです。
パテイー

小梨の白い花 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

目白を出発するとき気温は27度。今年は暑さが早く来そうです。主人はあっという間に準備して、奥さんと私を車に押し込んで蓼科の山荘にやってきました。”如何だ、自然は正確だ”と温度計が示す13度を喜んでいます。”100メートル当たり1度の割合で気温が下がる。山荘は標高1400メートルだから、之でよい”と言います。山荘の庭は小梨の白い花で一杯です。其の周りを新緑の木々が取り囲んで絵のようです。主人はお気に入りの北欧料理ガムラステンに居直って、奥さんの制止を振り切り、アクワビットをお代わりしています。主人は若い頃北欧で仕事をしていたのです。レストランのご主人は毎年ストックホルムに出張して、新しい料理や食材を持って帰ります。主人はしたり顔で色々論評していますが、満足しているのは良く分かります。今日も蓼科は清々しい乾いた空気と白い小梨の花で一杯です。パテイー

目白の雀 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

我慢強い主人ですがどうやらそろそろ匙を投げそうです。目白のヴェランダで毎日雀を飼いならそうとあれこれ餌をとっかえしてきたのですが雀は何時まで経っても神経質でさっぱり主人になれる様子がありません。シドニーの家では部屋の中まで飛び込んで遊んでいた小鳥、ロンドン、パリの公園で平気で人の肩に飛んでくる雀。主人は忘れられないのです。近くの小鳥やの御主人と話し合って最近は小粒の粟を与えていました。マイルドセヴンの煙草ひと箱代で買える一袋の粟のつぶ。”節煙にもなるし文字通り一石二鳥だ”等と言っていた主人。最近は、街を歩いて”何故ベンチが無いのか。日本人の心情は形ばかりだ。優しくない、いじめの国とは正しい評価だ。皆、ロンドン、パリに住めばいい。人にやさしくなければ小鳥など話の外だ。”と怒りが他に向いています。でも、主人が居ないと雀たちは私にはすっかりなついています。私が餌箱に近ずいても、逃げません。
パテイー

オーストラリアの酷暑 [連載ー蓼科高原のクレオパトラ]

主人のオーストラリアの友人から記録上初めて全土で日中の気温が40度を超えて、タスマニアもニューサウスウェイルス州も自然発火の火事が荒れ狂って大変だとメイルが来ました。主人は目白のアパートの窓の外に横殴りの雪を見て、”こりゃ大変だ。宇宙の変事に違いない。あっちもこっちも異常気象だ。”とつぶやいています。ヴェランダにあっという間に10センチ以上の雪が積もりました。主人は私をじろっと見て、”お前は犬だ。犬は雪が好きな筈だ。サー雪と遊べ”とけしかけます。とんでもない。私は寒いのは嫌いです。今朝は、主人につかまらぬよう逃げ回っています。デモ本当におかしな天気です。今年の蓼科高原の夏は異常に気温が上がるのではないかなと心配です。
パテイー
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